離れて暮らす親を見守りたいけれど、機器を増やしたくない、親に新しい操作を覚えてもらいたくない――そう考えたときに候補にあがるのが、電力会社が提供する「電気使用量データ」を使った見守りサービスです。すでに家にあるスマートメーターの情報を活用する仕組みなので、新しい機器の設置や親自身の操作がほとんど不要な点が特徴です。
この記事では、電気使用量データ型の見守りサービスの仕組みとメリット・限界を整理したうえで、各社のサービスを比較します。見守りサービス全体の型から比較したい方は、先に高齢者見守りサービス完全比較|電気・ガス・郵便・宅配・警備の違いを読むと位置づけがつかみやすくなります。
※記載の料金は2026年8月時点で各社公式サイト等の公開情報として確認できたものです。プランや料金、提供状況は変更される場合があるため、契約前に公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
電気使用量で見守るとは、どういう仕組みか

多くの家庭に設置されているスマートメーターは、30分単位で電気の使用量を計測し、通信機能を使って遠隔でデータを取得できる電力メーターです。電気使用量データ型の見守りサービスは、このスマートメーターのデータを使い、日々の電気の使われ方から生活のリズムを把握します。
具体的には、あらかじめ起床・就寝の時間帯や生活パターンを設定しておき、その時間帯に電気使用量の変化が見られない場合に「いつもと違う」と判断してアプリやメールで家族に通知する、という流れが一般的です。カメラのように部屋の様子を映すわけではなく、センサーのように新しい機器を設置するわけでもないため、プライバシーへの配慮と導入のしやすさを両立しやすい仕組みといえます。
メリットと限界を正直に整理する
電気使用量データ型のメリットは、次の2点に集約されます。
- 新しい機器を家に増やす必要がない:既存のスマートメーターの情報を使うため、工事や設置作業が発生しないサービスがほとんどです
- 親が何かを操作する必要がない:ボタンを押す、アプリを開くといった操作を親自身に求めないため、機械の操作が苦手な親にも負担がかかりません
一方で、限界も明確にしておく必要があります。電気使用量はあくまで生活パターンを間接的に推測する材料であり、体調の異変そのものを検知しているわけではありません。日中に外出していて電気を使わなかった、来客があっていつもと違う時間に電気を使った、といった場合にも通知が届くことがあり、通知が来たからといって必ず異常が起きているとは限りません。逆に、電気を使う行動が普段どおりに続いていても、その裏で体調に変化が生じている可能性はゼロではありません。
また、多くのサービスは30分単位のデータを一定時間ためたうえで判定する仕組みのため、リアルタイムに近い速さで異常を知らせるものではありません。転倒や急病などその場で起きた出来事にすぐ気づける仕組みではなく、「数時間単位で生活リズムの変化に気づく」ための仕組みだと理解しておくと、実際の使い方とのズレが少なくなります。
【比較表】電気使用量データ型の見守りサービス
| 提供会社 | サービス名 | 月額目安 | 提供地域 | 通知方法 |
|---|---|---|---|---|
| 中部電力ミライズコネクト | テラシテ | 550円 | 中部地方在住かつ中部電力ミライズとの契約者限定 | スマホアプリへのプッシュ通知 |
| Essential Energy(電力小売) | 見守り電気 プラスサポート | 990円 | 東京電力・東北電力・中部電力管内など複数エリア(電気契約自体の切り替えが必要) | メール通知+週1回の電話確認(ウィークリーコール) |
| 九州電力(提携先経由) | Q-ieまもり | 個人向け料金は非公開(賃貸物件のオーナー・管理会社を通じた提供が中心) | 熊本県内の提携賃貸物件など、実証実験から広がった限定的なエリア | 異常が一定期間続くと本人へ架電、応答がなければ登録先へ通知 |
中部電力ミライズコネクトの「テラシテ」は、中部地方在住かつ中部電力ミライズと契約していることが利用条件です。全国の電力管内で使える選択肢としては、電力小売事業者Essential Energyが提供する「見守り電気」があり、電気の契約自体をこの事業者に切り替えることでカメラやセンサーなしの見守りと週1回の電話確認が受けられます。九州電力の「Q-ieまもり」は、賃貸物件での孤独死対策として不動産会社と連携する形で始まった経緯があり、個人が単独で契約できる全国向けサービスというよりは、提携物件の入居者向けという性格が強い点に注意が必要です。
東京電力エナジーパートナーも、2017年以降「遠くても安心プラン」として電気使用量ベースの見守りサービスを提供してきた実績があります。ただし本記事の作成時点では公式サイト上で現行プランの詳細を確認できておらず、新規申し込みの可否やプラン内容が変わっている可能性があります。契約中、あるいは検討中の電力会社に電気使用量型の見守りサービスがあるかどうかは、公式サイトやカスタマーセンターで直接確認することをおすすめします。
東北電力についても、会員向けWebサービスで電気使用量を確認できる仕組みはあるものの、異常検知・自動通知までを行う見守りサービスとしての提供は2026年8月時点で確認できていません。
関電SOSの見守りサービス ―― 電気使用量型とは異なる位置づけ

関西電力グループが展開する「関電SOS」にも、高齢者向けの見守りプランがあります。ただし関電SOSの仕組みは、電気使用量データを解析するタイプではなく、自宅に設置したセンサーや非常ボタンが異常を検知すると、監視センターを通じて警備員が駆けつける「駆けつけ型」のホームセキュリティです。
提供エリアは大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県の関西圏に限られており、シニア向けプランでは急病時にボタン一つで通報できる救急通知サービスが用意されています。月額料金は買取プランで3,190円から、レンタルプランで5,940円からとなっており、電気使用量データ型のサービスと比べると月額は高めですが、その分「異常時に人が現場に駆けつける」という対応まで含まれている点が大きな違いです。
同じ「電力会社系の見守り」という括りでも、電気使用量データで生活リズムの変化に気づくタイプと、センサー・駆けつけで異常時に人が動くタイプとでは、想定している場面がまったく異なります。駆けつけ型の見守りサービス全般については、ALSOK・SECOMの駆けつけ型見守りサービスは必要かで料金と判断基準を比較しています。
サービスの対象エリア外・契約条件に合わない場合の代替
電力会社の電気使用量型サービスは、地域や契約している電力会社によっては利用できないことがあります。その場合、専用機器を新たに増やしたくないという動機自体は変わらないため、電球をIoT対応のものに交換するだけで生活リズムを把握できる「スマート電球型」や、玄関などに1個だけ設置する開閉センサーのように、機器の数と設置の手間を最小限に抑えられる方法が代わりの選択肢になります。電気使用量型ほど機器がゼロにはなりませんが、工事が不要で親の操作を必要としない点は共通しています。
価格・在庫は変動します。リンク先でご確認ください
価格・在庫は変動します。リンク先でご確認ください
月額の契約になる代わりに、機器の設置をコンセントに挿すだけで済ませる方法もあります。「au かんたん見守りプラグ」は月額539円(初月無料)・本体8,800円(いずれも税込)で、コンセントに挿した家電の使用状況から生活の動きを家族に知らせる仕組みです。LTE通信で動作するため実家にWi-Fi環境がなくても使え、テラシテの月額550円と大きく変わらない負担で、電力会社の契約先や居住エリアに左右されずに導入できる点が、電気使用量型が使えなかった場合の違いになります。ただし電気使用量型と同じく、異常を検知して人が駆けつけるサービスではなく、通知を受けた家族が動く前提である点は変わりません。申し込み条件や最新の料金はau かんたん見守りプラグの公式ページで確認できます。
料金や仕組みの詳細は月1,000円以下で始める格安サービス特集、開閉センサーでできること・できないことの整理は開閉センサーだけで見守りは十分?で解説しています。
向いている家庭・向かない家庭

電気使用量データ型の見守りサービスが向いているのは、次のような家庭です。
- 実家に新しい機器を増やしたくない、工事を伴う設置は避けたい
- 親にアプリの操作やボタン操作を求めたくない
- まずは低コストで、生活リズムがいつもどおりかどうかだけ分かれば十分
- 転倒などの緊急時対応よりも、日々の変化に緩やかに気づきたい
一方で、次のような家庭には向いていない可能性があります。
- 契約中の電力会社・地域が対象エリア外で、そもそもサービスを利用できない
- 転倒や急病など、その場で起きた異常にできるだけ早く気づきたい
- 通知を受け取ったあと、家族自身では駆けつけられず、代わりに誰かに対応してほしい
3つ目に当てはまる場合は、電気使用量型ではなく駆けつけ型が候補になります。前述の関電SOSのようにエリアが限られるサービスもあるため、実家の地域で契約できるかを先に確認しておくと選びやすくなります。全国規模で提供されている例としてはセコム・ホームセキュリティ「親の見守りプラン」があり、月額は買い取りで3,520円、レンタルで5,610円(いずれも税込)です。初期費用は買い取りでシステム料金263,340円(税込・工事料込み)、レンタルで工事料54,890円(税込)と保証金2万円(契約満了時返却)がかかります。生活動線上のセンサーが一定時間反応しない場合の自動通知と駆けつけまでが含まれるため、電気使用量型とは月額が数倍から10倍近く変わります。実家の状況に対して過剰でないかを確かめるうえでは、セコム・ホームセキュリティ「親の見守りプラン」
の公式ページで見積もりを取ってから比べるという進め方もあります。
親がスマホの操作自体を苦手としている場合は、電気使用量データ型に限らず、親側の操作が不要な見守り方法を幅広く比較しておくと選択肢が広がります。親がスマホを使えなくてもできる見守り方法まとめや、月1,000円以下で始める格安サービス特集もあわせて参考にしてください。人の目で定期的に確認したい場合は、郵便局や宅配会社による訪問型の見守りという選択肢もあります。
まとめ
電気使用量データ型の見守りサービスは、新しい機器を増やさず、親に操作を求めずに導入できる点が最大の強みです。ただし、体調の異変そのものを検知するのではなく、生活パターンの変化から間接的に推測する仕組みであり、リアルタイム性も高くない点は理解したうえで選ぶ必要があります。
中部電力ミライズコネクトの「テラシテ」のように地域・契約が限定されるサービスもあれば、Essential Energyの「見守り電気」のように電気契約の切り替えによって複数エリアで使えるサービスもあります。関電SOSのように、同じ電力会社グループでも電気使用量データ型とは異なる駆けつけ型を提供しているケースもあるため、「どの型の見守りなのか」を確認したうえで、実家の状況に合うサービスを選んでみてください。どの型から検討すればよいか迷う場合は、見守りサービスの選び方ガイドから全体像を確認するのもおすすめです。



