「親のスマホでも位置情報の共有機能はあるはずだから、それで十分では」——見守りを検討し始めた人がまず思いつくのが、iPhoneの「探す」やAndroidの位置情報共有といった、追加費用のかからない標準機能です。実際、親がスマホを日常的に使いこなしているなら、わざわざ専用のGPS端末を買う必要はないようにも思えます。

ただし、スマホの位置情報共有には見落とされがちな弱点もあります。この記事では、スマホの標準機能と専用GPS端末の違いを、バッテリー・持ち歩き忘れ・料金体系という3つの観点から整理します。なお、この記事では認知症や徘徊への対応ではなく、外出好きな親の防犯・生活サポートという観点で見守り手段を考えます。

スマホの位置情報共有でできること

iPhoneには「探す」アプリがあり、ファミリー共有の設定をすることで、家族間で継続的に位置情報を確認し合えます。Androidにも同様に、Googleマップの位置情報共有機能が標準で搭載されており、追加のアプリを入れなくても家族や友人とリアルタイムの現在地を共有できます。

いずれも無料で使え、親がすでにスマホを持っているなら初期費用も月額費用もかからないのが最大の利点です。GPS専用端末のように新しい機器を親に渡す必要がなく、「今使っているスマホの設定を変えるだけ」という導入のしやすさもあります。

それでも専用GPS端末が選ばれる理由

一方で、スマホでの位置情報共有には、実際に使ってみると気になる弱点がいくつかあります。

バッテリーの消耗と充電の手間

電池切れのスマホとまだ光るGPS端末のイラスト

位置情報サービスは常時オフの状態に比べてバッテリー消費が大きくなります。スマホは通話やメール、ブラウジングなど他の用途でも常にバッテリーを使うため、位置情報共有をオンにしたまま外出していると、夕方には電池が切れて位置が更新されなくなる、ということが起こり得ます。GPS専用端末は基本的に位置情報の送信だけに機能を絞っているため、機種によっては1回の充電で数日から1か月程度の連続稼働をうたうものもあり、充電の頻度という点では負担が小さくなりやすい傾向があります。

持ち歩き忘れのリスク

玄関に置き忘れたスマホと持ち出される鍵のイラスト

スマホは高機能であるがゆえに、外出時にあえて自宅に置いていくという人も一定数います。財布や鍵は忘れなくても、スマホは「重い」「操作が分からない」という理由で持ち歩かれないことがあるのが実情です。GPS専用端末は、キーホルダー型やカード型など、財布や鍵と一緒に携帯しやすい形状で作られているものが多く、日常の持ち物に紛れ込ませる形で持ち歩いてもらいやすいという特徴があります。形状ごとの選び方はGPS端末タイプ別の選び方で詳しく整理しています。

料金体系の違い

スマホの位置情報共有そのものは無料ですが、その前提としてスマホ本体の通信契約が必要です。すでに親がスマホを契約しているなら追加費用はかかりませんが、GPS専用端末を新たに導入する場合は、端末の購入費用に加えて月額の通信料がかかるのが一般的です。目安として、専用GPS端末は端末価格が5,000円台前後、月額料金は500円台〜750円程度のプランが多く見られます。スマホの通信費とは別に追加のランニングコストが発生する点は、導入前に確認しておきたいポイントです。端末ごとの月額・2年総額の違いはGPS見守り端末の月額費用を徹底比較で整理しています。

どちらを選ぶかの目安

一律にどちらが優れているとは言えず、親の生活スタイルによって向き不向きがあります。

  • 親がスマホを日常的に使いこなしている場合:まずは無料の位置情報共有機能から試すのが手軽です。追加費用をかけずに導入でき、うまく機能すればそれで十分なケースもあります。
  • スマホの操作に不安がある、あるいは外出時に持ち歩かない習慣がある場合:専用GPS端末のほうが、身につけてもらいやすく、バッテリー切れのリスクも抑えやすい選択肢になります。
  • 外出頻度が高く、こまめに居場所を確認したい場合:スマホ・専用端末のどちらでも実現できますが、バッテリーの持ちや通知設定(エリアを離れたときの通知など)の使い勝手を比較検討する価値があります。

すでにスマホの位置情報共有を試していて「電池切れで位置が分からなくなる」「そもそも持って出かけない」といった問題が起きているなら、専用端末への切り替えを検討するタイミングだといえます。

専用GPS端末ならではの機能

見守りエリアから出た瞬間に通知が届くイラスト

専用GPS端末には、スマホの位置情報共有にはない機能が用意されていることもあります。代表的なものが、あらかじめ設定したエリア(自宅周辺など)を出入りしたときに家族へ通知が届く機能や、端末のボタンを押すことで家族に連絡が届く機能です。こうした機能は日常の防犯・安心の手がかりとして使われており、外出好きな親が普段と違う行動範囲に出たときに気づきやすくなる、という使い方ができます。

一方で、こうした通知機能はあくまで行動範囲の把握を助けるものであり、事故やトラブルの発生そのものを防ぐものではありません。通知が来ないからといって問題がないと判断できるわけではなく、電波の届きにくい場所では位置情報の更新が遅れることもあります。過度に依存せず、日頃の電話連絡などと組み合わせて使うのが現実的です。

端末選びで確認しておきたいポイント

専用GPS端末を検討する場合、料金以外にも確認しておきたい点がいくつかあります。

  • 通信回線の種類:大手キャリア回線を使う端末が多いですが、独自回線を使うタイプもあり、実家周辺の電波状況によって選ぶべき端末が変わることがあります。
  • 防水性能:屋外での携帯を想定する場合、雨天時の使用に耐えられる防水等級かどうかを確認しておくと安心です。
  • 契約の縛り:月額プランに最低利用期間が設定されている場合があるため、お試しでの導入を考えている場合は契約条件を事前に確認しておくとよいでしょう。

見守りカメラとの役割の違いにも触れておく

位置情報共有やGPS端末は「外出中の居場所」を把握する手段であり、自宅内での安否確認とは役割が異なります。自宅にいる時間が長い親であれば見守りカメラや人感センサーとの併用が合理的な場合もあります。GPS端末と見守りカメラのどちらが向いているかはGPS端末と見守りカメラ、外出が多い親にはどちらが良い?で比較しています。すでに見守りカメラの導入を検討している場合は、見守りカメラを親が嫌がる理由と伝え方の記事もあわせて参考にしてください。

まとめ

スマホの位置情報共有は無料で始められる手軽さが魅力ですが、バッテリー消耗や持ち歩き忘れといった弱点があり、外出中の見守りとしては万全とは言えません。専用GPS端末は追加の費用がかかる一方、携帯しやすい形状やバッテリーの持ちの面で補える部分があります。親のスマホの使いこなし具合や外出時の持ち物の習慣を踏まえて、まずは無料の機能から試し、不安が残るようであれば専用端末への切り替えを検討するという進め方が現実的です。