離れて暮らす親の家について、玄関の鍵は気にしていても、窓まわりまで意識が向いている人は多くありません。ですが窓は、夏場に開けっぱなしにしがちな場所であり、外から見えにくい掃き出し窓やベランダが多く、洗濯物や掃除といった日常の動作でも使う場所です。そのぶん「侵入されるリスク」と「転落するリスク」の両方が重なりやすい場所でもあります。

この記事では、工事をせずに実家でもできる窓まわりの対策を、防犯と転落防止の両面から整理します。防犯・安全カテゴリ全体の考え方は実家の防犯、何から始める?優先順位ガイド、玄関まわりの対策は実家の玄関まわりの防犯で扱っているので、あわせて確認してみてください。

※記載の情報は2026年8月時点で確認できたものです。統計・仕様は変わることがあるため、最新情報は出典元や各社公式サイトで確認してください。

窓には「侵入」と「転落」、2つのリスクがある

窓まわりの対策を考えるとき、防犯だけを見ていると見落としがちなのが転落のリスクです。特に実家に一人で暮らす親の場合、この2つは別々に整理しておく必要があります。

  • 侵入のリスク:施錠を忘れた窓、留守中に開けっぱなしの網戸など、外から入られる隙になりうる状態
  • 転落のリスク:ベランダの手すりや窓の足場になりうる場所での、洗濯物干し・掃除・植木の水やりといった日常動作の中で起きるリスク

この2つは原因も対策も違います。防犯フィルムや補助錠は転落を防ぎませんし、手すりの点検は侵入を防ぎません。「窓の対策」とひとくくりにせず、両方を別のチェック項目として考えることが、この記事でいちばん伝えたいことです。

警察庁の「住まいる防犯110番」では、一戸建て住宅を中心に、窓と表の出入口からの侵入が多い傾向にあると紹介されています(出典:警察庁 住まいる防犯110番「手口で見る侵入犯罪の脅威」、2026年8月時点で確認)。窓は玄関と並んで、優先して見ておきたい場所だといえます。

工事なしでできる防犯対策

補助錠:クレセント錠だけに頼らない

窓についているクレセント錠は、もともと気密性を保つための金具であり、防犯を主目的にした鍵ではありません。窓ガラスの近くに手を入れられると、外側から動かされてしまう可能性があります。窓枠に後付けできる補助錠を、クレセント錠とは別の高さに1つ足しておくと、開けるための手間が単純に増え、侵入のハードルを上げられます。両面テープやネジ止めで固定するタイプが多く、賃貸でも使える製品があります。

防犯フィルム:ガラスの破りにくさを底上げする

窓ガラスに貼るタイプの防犯フィルムは、ガラスが割れたときに破片が飛び散りにくくなるほか、貫通するまでの時間を延ばす効果が期待できます。厚みや対応するガラスの種類は製品によって異なるため、購入前に対応窓のサイズと施工方法を確認しておくとよいでしょう。フィルム施工は自分で貼れるタイプもありますが、掃き出し窓など大きなガラスは業者施工を案内している製品もあります。

窓が開いたことを知らせる開閉センサー

補助錠や防犯フィルムは「開けにくくする」対策ですが、開閉センサーは「開いたこと自体を知らせる」対策です。窓枠とサッシに小さなセンサーを貼り付けておけば、留守中や就寝中に窓が開いた際に通知が届きます。玄関の見守りに使う開閉センサーと同じ製品を窓にも設置できる場合が多く、すでに玄関で使っているなら追加しやすい選択肢です。開閉センサーでできること・できないことは開閉センサーだけで見守りは十分?で詳しく整理しています。

面格子の点検

トイレや浴室などの小窓に面格子がついている実家もあります。面格子自体は有効な対策ですが、経年でネジが緩んでいたり、錆びて外れやすくなっていたりするケースがあります。帰省したときに手で軽く揺らして、緩みがないか確認しておくとよいでしょう。

網戸まわりも見ておきたい理由

網戸だけを閉めて、窓自体は施錠していない状態は、夏場によくある油断のひとつです。網戸は網目を破れば内側から鍵を開けられてしまうため、「網戸が閉まっているから大丈夫」という状態は、実質的に窓が開いているのとあまり変わりません。

対策としては、まず窓自体をきちんと施錠する習慣が基本になります。そのうえで、網戸側にも簡易的な鍵を取り付けられる製品や、通常の網戸より破られにくい素材・構造を採用した製品も選択肢にあります。

既製の網戸を丸ごと入れ替えられる製品もあり、たとえば自分で交換でき、工事不要で防犯・転落防止の機能を備えた網戸であれば、破られにくさに加えて次に紹介する転落防止の面でも安心材料になります。

転落防止:生活動線の中で起きるリスクに備える

高齢の親がベランダや窓から転落するのは、危険なことをしているときというより、洗濯物を干す、窓を拭く、植木に水をやるといった、いつもの家事の延長で起きることが多いものです。特別な注意喚起よりも、日常の場面をひとつずつ点検しておくほうが実効性があります。

  • 手すり・柵の点検:グラつき、錆による腐食、ネジの緩みがないか。帰省時に手で押してみるだけでも分かることがあります
  • 足場になりうるものを置かない:エアコンの室外機、プランター、物置きなど、ベランダの縁に近い場所に踏み台代わりになるものがあれば、位置を見直す
  • 無理な作業を家族が引き受ける:網戸の外側の掃除、高い場所の窓拭き、屋根に近いベランダでの植木の世話など、乗り出す姿勢になりやすい作業は、帰省時に代わりに済ませてしまうのも一つの方法です
  • 踏み台の使い方:安定した踏み台を用意し、ぐらつく椅子や物入れの上に乗る習慣があれば見直しを促す

これらは機器に頼らずできる対策です。防犯グッズを揃えることよりも先に、まずこの点検をしておくことをおすすめします。

夏場の「開けっぱなし」問題

換気のために窓を開けたまま外出・就寝してしまうのは、防犯上もっとも避けたい状態です。とはいえ夏の実家で窓を閉め切るのも現実的ではありません。

窓を数センチだけ開けた状態で固定できる器具を使うと、風を通しつつ、人が通り抜けられる隙間は作らずに済みます。補助錠と組み合わせて使うタイプの製品もあります。

根本的な解決としては、窓を開けずにエアコンで換気・冷房をまかなえるようにしておく方法もあります。エアコンのリモコン操作が苦手な親でも、スマートリモコンを使えば家族が外出先から遠隔で電源を入れられます。「窓を開けたくなる理由」そのものを減らす発想として、スマートリモコンで始める見守り入門もあわせて参考にしてください。

賃貸の場合はどうするか

実家が賃貸の場合、窓のサッシやベランダの手すりに手を加えることはできません。補助錠や防犯フィルムも、両面テープなど跡が残りにくい固定方法の製品を選べば導入しやすくなりますが、退去時の原状回復についてどこまで求められるかは物件ごとに異なります。判断に迷う場合は、自己判断せず契約書を確認したうえで管理会社に相談してください。賃貸ならではの制約と工事不要の選択肢は賃貸の実家見守り、工事不要でできることでも整理しています。

まとめ

窓まわりの対策は、侵入を防ぐ対策と転落を防ぐ対策の両方を別々に考えることが出発点です。補助錠・防犯フィルム・開閉センサーは工事なしで防犯を底上げでき、網戸は施錠する習慣とあわせて見直す価値があります。転落については機器よりもまず、手すりの点検や、洗濯物・掃除・植木の世話といった生活動線の中の危ない場面を家族が把握しておくことが実効性のある備えになります。

対策を決める前に、まずは何から手をつけるかを整理したい場合は実家の防犯、何から始める?優先順位ガイドを、玄関側の対策とあわせて検討したい場合は実家の玄関まわりの防犯を参考にしてください。機器を設置する際は、親の同意を得るためのポイントにあるとおり、本人への説明と同意を前提に進めるようにしましょう。