見守りカメラは、離れて暮らす家族の様子を確認するために使われる家庭用の防犯カメラの一種で、基本的に24時間つけっぱなしで使うものです。「ずっと電源を入れっぱなしにして、電気代がどれくらい膨らむのか分からないまま契約するのは不安」——そう感じて、購入前に一度立ち止まる人は少なくありません。防犯カメラの電気代を扱った記事はいくつもありますが、見守り用途で実際に気になる「常時稼働させた場合の月額感」や「カメラ本体以外にかかる電気代」まで踏み込んだ情報は意外と見つかりにくいものです。
この記事では、見守りカメラの消費電力から電気代を試算する方法と、目安となる金額を紹介します。カメラ本体だけでなく、レコーダーやWi-Fiルーターを含めたシステム全体の電気代、電気代以外にかかるランニングコスト、消費電力を抑えるための選び方のポイントまで整理しました。
電気代の計算方法はシンプルな式で求められる

電気代は、次の式で計算できます。
電気代 = 消費電力(W) ÷ 1000 × 使用時間(h) × 電力量単価(円/kWh)
このうち電力量単価は契約している電力会社やプランによって異なりますが、家電のカタログ等で広く使われている目安単価があります。全国家庭電気製品公正取引協議会(家電製品の省エネ性能表示等で使う目安単価を定めている公益社団法人)は、令和4(2022)年7月22日の改定以降、目安単価を31円/kWh(税込)としており(全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問」)、経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会が公表する全小売電気事業者の販売電力量・販売額の集計値をもとに算出された数値です。本記事はこの31円/kWh(税込・2022年7月改定時点の目安単価)で全試算を統一します(家庭用の防犯カメラでも考え方は同じです)。ただし実際の電気代は契約している電力会社・プラン・使用量・燃料費調整額などによって変動するため、あくまで目安としてご覧ください。地域や電力会社ごとの実際の単価差については、後述の「電力会社・地域による単価の違い」の章でも比較しています。
見守りカメラの消費電力はどのくらいか
見守りカメラの消費電力は機種によって差があり、複数の比較情報を見る限り、おおむね3W〜15W程度に収まるものが多いようです。常時Wi-Fi通信を行い映像をクラウドに送り続けるタイプはやや高め、通信頻度を抑えたタイプや人感センサーで撮影のオン・オフを切り替えるタイプは低めになる傾向があります。正確な数値は商品スペック表の「消費電力」欄で確認するようにしてください。
まずはカメラ本体だけで試算してみる
消費電力別に、24時間・1ヶ月(30日)連続稼働させた場合の電気代の目安を計算してみます(単価31円/kWhで試算)。
| 消費電力 | 1日あたりの電気代(目安) | 1ヶ月あたりの電気代(目安) |
|---|---|---|
| 3W | 約2.2円 | 約67円 |
| 5W | 約3.7円 | 約112円 |
| 10W | 約7.4円 | 約223円 |
| 15W | 約11.2円 | 約335円 |
多くの機種は月あたり数十円〜300円程度の範囲に収まる計算になります。「24時間つけっぱなし」と聞くとかなりの出費を想像してしまいますが、実際に式に当てはめてみると、LED電球を1個つけっぱなしにした場合の半分以下にとどまるケースが多いというのが実感値に近い結論です。ただし、これはあくまでカメラ本体単体の消費電力です。次の章で紹介するように、録画方式によっては別の機器の電気代が上乗せされます。
レコーダー・ルーター込みの電気代
見守りカメラの録画方式は、大きく分けて3パターンあります。それぞれで電気代のかかり方が異なります。
- SDカード録画型:カメラ本体にSDカードを挿して直接映像を保存するタイプ。家庭用の見守りカメラで主流の方式で、レコーダーを別途置く必要がなく、電気代はカメラ本体分(3〜15W)だけで済むことが多い方式です。
- クラウド録画型:映像をインターネット経由でクラウドサーバーに保存するタイプ。専用のレコーダーが不要なため電気代への影響は小さいものの、月額のクラウド利用料が別途かかります(詳しくは次の章を参照)。
- レコーダー(NVR/DVR)型:複数台のカメラを一括管理し、ハードディスクに録画するタイプ。実家に何台も設置したい場合や、長期間の映像を手元に残しておきたい場合に選ばれますが、レコーダー自体の電気代が上乗せされます。防犯カメラの比較記事では、レコーダー(NVR)本体の消費電力は15W〜20W程度が目安として紹介されています(NSKダイレクトショップ「防犯カメラの電気代はいくら?」、USEN「防犯・監視カメラの1ヶ月あたりの電気代」)。
また、実家にインターネット回線がなく、見守りカメラのために新たにWi-Fiルーターを設置する場合は、ルーターの消費電力も加わります。ルーターの消費電力は機種によって差があり、シンプルな機能のモデルで約6W、高性能なモデルで約15〜18W程度が目安とされています(エネチェンジ「Wi-Fiルーターの電気代はいくらかかる?」)。
これらを踏まえて、構成別に1ヶ月の電気代(目安)を試算すると次のようになります(単価31円/kWh、24時間・30日稼働で試算)。
| 構成 | 合計消費電力(目安) | 1ヶ月の電気代(目安) |
|---|---|---|
| カメラ本体のみ(SDカード/クラウド保存、既存Wi-Fiを利用) | 約5W | 約112円 |
| カメラ+レコーダー(5W+15W) | 約20W | 約446円 |
| カメラ+レコーダー(5W+20W) | 約25W | 約558円 |
| カメラ+レコーダー+新設Wi-Fiルーター(5W+20W+10W※) | 約35W | 約781円 |
※Wi-Fiルーターの消費電力は機種差が大きいため、上で挙げたシンプルなモデル(約6W)と高性能モデル(約15〜18W)の中間にあたる10Wを仮の値として置いています。
見守り用途で1台のカメラをSDカードやクラウドで運用する場合は、最初の試算表(月67円〜335円程度)がそのまま目安になります。一方で、実家に複数台設置してレコーダーで一括録画したい場合は、レコーダー分の電気代が数百円単位で上乗せされる点を踏まえて予算感を持っておくと安心です。
電力会社・地域による単価の違い
ここまでの試算はすべて、全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価(31円/kWh)で統一していますが、実際に支払う電気代は契約している電力会社・プランによって変わります。目安として、主要な電力会社の従量電灯プランのうち、一般的な家庭の使用量帯にあたる「第2段階」の単価を比較すると、次のようになります(税込・2026年5月時点の公式料金表に基づく数値。エネジェントによる電力各社の公式約款・料金表をもとにした集計)。
| 電力会社・プラン | 電力量料金 第2段階の単価 | 5Wのカメラ1台・1ヶ月の電気代換算 |
|---|---|---|
| 東京電力エナジーパートナー 従量電灯B | 36.40円/kWh | 約131円 |
| 中部電力ミライズ 従量電灯B | 25.67円/kWh | 約92円 |
| 関西電力 従量電灯A | 25.61円/kWh | 約92円 |
| 本記事の目安単価(全国家庭電気製品公正取引協議会) | 31円/kWh | 約112円 |
同じ5Wのカメラでも、契約している電力会社や地域によって月あたり数十円程度の差が出る計算になります。「第2段階」は一般的な家庭の月間使用量帯を想定した単価であり、実際の請求額は契約プランや使用量、燃料費調整額によってさらに変動する点は踏まえておいてください。本記事のこれ以降の試算では、他社・他地域との比較のしやすさを優先し、引き続き31円/kWhで統一して計算します。
台数別の電気代早見表
実家に複数台設置する場合の電気代がどれくらい積み上がるか、台数別にまとめました(5Wのカメラ、24時間・30日稼働、単価31円/kWhで試算)。
| 台数 | 合計消費電力(目安) | 1ヶ月の電気代(目安) | 1年の電気代(目安) |
|---|---|---|---|
| 1台 | 5W | 約112円 | 約1,344円 |
| 2台 | 10W | 約224円 | 約2,688円 |
| 3台 | 15W | 約336円 | 約4,032円 |
| 4台 | 20W | 約448円 | 約5,376円 |
台数が増えても、カメラ本体だけであれば電気代はほぼ台数に比例して増える程度で、大きな負担にはなりにくい水準です。消費電力が3W〜15Wの範囲で異なる機種を使う場合は、「まずはカメラ本体だけで試算してみる」の表にある1台あたりの金額に台数を掛けることで、同じように概算できます(例:3Wの機種を4台なら、約67円×4台=約268円/月)。なお、複数台をレコーダー(NVR/DVR)でまとめて録画する構成にする場合は、この早見表にレコーダー分の電気代(前章の「カメラ+レコーダー」の試算)を別途加算してください。
待機電力はどう考える?
家庭全体で見ると、待機電力(コンセントに挿したまま使っていない家電が消費する電力)は年間の家庭消費電力量の約5.1%(年間228kWh)を占めるという資源エネルギー庁の調査結果があります(平成24年度「待機時消費電力調査」報告書)。
ただし見守りカメラの場合、電源を切ってしまうと見守り機能自体が止まってしまうため、テレビや炊飯器のような「使っていない時の待機電力」という考え方はそのまま当てはまりにくい機器です。人感センサー型のカメラであっても、人の動きを検知するためにセンサー自体は常に通電している必要があり、「センサーが人を検知していない待受け中」の消費電力は、これまで紹介してきた3〜15W程度の範囲に収まるのが実態です。つまり人感センサー型を選んだからといって電気代がゼロに近づくわけではなく、「常時録画・常時通信タイプよりは低めに抑えやすい」という程度の節電効果と捉えておくのが実情に近いといえます。
電気代以外にかかるコストも忘れずに
見守りカメラのランニングコストは電気代だけではありません。契約前に、以下もあわせて確認しておくと想定外の出費を防げます。
- 通信費:自宅のWi-Fiを使わず、SIMカードを内蔵して単独で通信するタイプの見守りカメラは、月々の通信料が別途かかります。実家にインターネット回線がない場合に便利な選択肢ですが、電気代とは別枠のコストとして把握しておく必要があります。インターネット回線なしで使える見守りカメラ比較もあわせてご覧ください。
- クラウド録画の保存料:一定期間の映像を保存できるクラウドプランは、月額または年額の利用料がかかる製品が多く、これも電気代とは別に発生します。
- 本体価格:初期費用として本体代がかかります。安価な機種と高機能な機種では数千円〜1万円以上の差が出ることもあります。
「月額○円」という表示だけで比較すると、電気代・通信費・クラウド利用料のどれが含まれているか分かりにくいことがあります。契約前に内訳を確認する習慣をつけておくと安心です。
見守りカメラの設置は家族の同意を得てから
電気代や運用コストの見通しが立ったら、次に確認しておきたいのが「設置についての家族の同意」です。見守りカメラは子ども世帯の安心のために導入されることが多い一方で、日常的にカメラに映る側になるのは実家で暮らす親です。設置前に目的や設置場所、映像の見え方について説明し、同意を得たうえで進めることが、後々のトラブルを避けるうえで大切だと考えられています。
具体的には、次のような点を事前に伝えておくと話し合いがスムーズに進みやすくなります。
- 何のために設置するか:防犯目的なのか、体調急変時の早期発見が目的なのか、設置理由をはっきり伝える
- どこに設置するか:リビングや玄関など、映像に映る範囲を具体的に伝える。寝室や浴室などプライベート性の高い場所は避けるのが一般的です
- 誰が、いつ映像を見るか:常時見ているのか、通知があったときだけ確認するのかを伝える
「監視されている」と感じさせてしまうと、かえって関係がこじれてしまうこともあります。親がカメラそのものに抵抗を感じている場合は、電気代や機能の話をする前に、親が見守りカメラを嫌がる理由と角が立たない伝え方で紹介している会話例を参考にしてみてください。映像を見せること自体に抵抗がある場合は、映像を使わないタイプの見守り機器という選択肢もあります。見守りカメラのプライバシー配慮タイプ完全ガイドで、配慮機能つきカメラから映像を一切使わないセンサー型まで3段階で紹介しています。
消費電力を抑えたい場合の選び方

電気代そのものは大きな負担になりにくいとはいえ、少しでも抑えたい場合は次のような選び方があります。
- 人感センサー連動型を選ぶ:常時録画・常時通信ではなく、人の動きを検知したときだけ撮影・通知する仕組みのカメラは、待機時の消費電力を抑えやすい傾向があります。楽天市場で人感センサー型の見守りカメラを探す カメラ以外にも人感センサー単体のグッズという選択肢もあります。設置場所ごとの向き不向きは人感センサー型見守りグッズ徹底比較で詳しく紹介しています。
- 解像度・フレームレートを見直す:高画質・高フレームレートの設定は消費電力や通信量が増えやすいため、見守り用途であれば必要十分な画質に設定を落とすことでも多少の節約になります。
- 待機時の映像送信頻度を調整する:常時ライブ配信ではなく、一定間隔での静止画送信やイベント通知型に設定できる機種もあります。
- レコーダーを使わずSDカード・クラウド保存にする:複数台をまとめて録画する必要がなければ、レコーダー(15〜20W)を置かない分、システム全体の電気代を抑えやすくなります。
- 屋外設置ならソーラー式も選択肢になる:太陽光で発電した電力で稼働するため、電気代そのものが発生しないソーラー式の防犯カメラもあります。ただし日当たりが悪い場所では発電量が不足しやすく、常時録画ではなく動体検知録画が基本になるなど、屋外の限定的な用途向けの選択肢です(NSKダイレクトショップ「ソーラー式防犯カメラは本当に使えるのか?」)。玄関先やアプローチなど屋外の見守りには向きますが、室内での常時見守り用途には基本的に有線・充電式のカメラが向いています。
他の家電と比べてみると
数字だけを見てもピンとこない場合は、身近な家電の電気代と比べてみると規模感がつかみやすくなります。
| 家電 | 1ヶ月の電気代(目安) | 出典 |
|---|---|---|
| LED電球1個(12.5W、24時間点灯) | 約279円 | 本記事の試算(31円/kWh)※CDエナジーダイレクトは1日10時間で約120円 |
| 見守りカメラ本体(5W、24時間稼働) | 約112円 | 本記事の試算(31円/kWh) |
| 冷蔵庫(24時間稼働) | 約600〜800円 | エネチェンジ(資源エネルギー庁 省エネ性能カタログ2024年版ベース) |
| ルームエアコン(使用時) | 数百〜数千円(機種・季節・使用時間で大きく変動) | 一定の目安を示しにくいため金額は幅で記載 |
見守りカメラ本体1台の電気代は、同じ時間つけっぱなしにしたLED電球の半分以下、冷蔵庫の1/5〜1/7程度というのが規模感です。もちろんエアコンや冷蔵庫は使い方・機種・季節によって金額が大きく変わるため、あくまで目安としての比較ですが、「見守りカメラだけが特別に電気を食う機器ではない」という点は伝わるのではないでしょうか。
年単位で見るとどう感じるか

月あたりの金額だけを見ると小さく感じても、1年間続けると印象が変わることがあります。たとえば5Wの機種を24時間稼働させた場合、年間の電気代は目安でおよそ1,344円(月あたり約112円×12ヶ月で試算)です。缶コーヒーを月に1本買う程度の金額感と考えると、日々の生活費の中で大きな負担になりにくいことが実感しやすいのではないでしょうか。導入を迷っている場合は、月単位ではなく年単位で試算してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 見守りカメラを2台以上設置すると電気代はどうなる?
基本的には台数分だけ単純に加算されると考えて差し支えありません。「台数別の電気代早見表」で1〜4台の月額・年額の目安をまとめているので、リビングと玄関など複数箇所への設置を検討している場合はそちらを参考に予算感をつかんでみてください。
Q. レコーダーを使う場合と使わない場合、どちらがおすすめ?
見守り用途で1〜2台を設置する場合は、SDカードやクラウド保存でレコーダーを使わない構成の方が電気代・設置の手間ともに抑えやすい傾向があります。実家に複数台のカメラをまとめて設置し、映像を手元のハードディスクに長期保存したい場合はレコーダー型が向いていますが、その分レコーダー本体の電気代(15〜20W、月あたり約335〜446円程度)が上乗せされる点は踏まえておく必要があります。
Q. 冬と夏で電気代は変わる?
見守りカメラ本体の消費電力は、季節による変動はほとんどないと考えられます。ただし夜間の暗視撮影(赤外線モード)を使う頻度が増える時期は、機種によってはわずかに消費電力が上がることがあります。とはいえ、月あたり数円〜数十円程度の差にとどまることが多く、大きな負担にはなりにくい範囲です。
Q. 電気代は誰が負担するのが一般的?
明確なルールがあるわけではありませんが、見守りカメラは子ども側の安心のために設置するケースが多いため、電気代を含めた費用は設置を提案した側が負担するという進め方をしている家庭が多いようです。実家の電気代に上乗せされることに親が抵抗を感じる場合は、導入前に費用負担の考え方を話し合っておくと、余計な気まずさを避けやすくなります。
まとめ
見守りカメラを24時間稼働させた場合の電気代は、カメラ本体(消費電力3W〜15W程度)であれば、目安単価31円/kWhで計算すると月あたりおよそ67円〜335円程度に収まる試算になります。レコーダーやWi-Fiルーターを含めたシステム全体で見ても、月あたり数百円程度に収まるケースが多く、冷蔵庫やエアコンといった他の家電と比べても突出して高いわけではありません。想像していたよりも小さな金額に感じる人が多いのではないでしょうか。
一方で、通信費・クラウド保存料・本体価格といった電気代以外のコストは機種やプランによって差が大きいため、トータルのランニングコストで比較することが大切です。導入を迷っている場合は、電気代の心配よりも、通信環境や親の同意といった他の要素から検討を始めるとスムーズに進められます。
機種選びの全体的なポイントは、見守りカメラ選び方完全ガイドで詳しく解説しています。

